本記事では「IT業界の転職に役立つ資格」というテーマで解説を進めていきます。
IT業界での転職を考える際に「どのような資格が役立つのかな」「資格が多すぎてどれを取得すべきなのかわからない」と悩み、この記事に辿り着いた方は多いのではないでしょうか。
IT業界の転職ではスキルや実績が重視されることは事実ですが、客観的に能力を証明する資格を取得することは有効です。
そこでこの記事では、転職に役立つ資格について具体的に紹介していきます。
- 資格を取得するメリット
- 資格の種類
- 資格選びのポイント
- 転職に役立つ資格
資格を取得すべきか悩んでいる方や未経験からIT業界への転職を考えている方は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
やまもとりゅうけん(@ryukke)
WEB/ITコンサルのワンダフルワイフ株式会社代表取締役。 新卒で東証一部上場企業にプログラマーとして就職したのち、27歳でフリーランスエンジニアとして独立し、サイバーエージェント大阪支店等に勤務。 現在は日本最大規模の複業コミュニティ「人生逃げ切りサロン」を開設し、3年間で参加者5000名超まで拡大させる。
目次
IT業界の転職に向けて資格を取得する5つのメリット
IT業界は資格よりもスキルや実績が評価される世界です。しかし資格の取得が無駄というわけではありません。こちらではIT業界の転職において資格を取得しておくメリットを5つ紹介します。
- スキルを客観的に評価してもらえる
- 向上心を評価してもらえる
- 体系的な知識やスキルを学べる
- 資格手当をもらえる場合もある
- 資格が採用条件になっている場合もある
一つひとつ見ていきましょう。
1. スキルを客観的に評価してもらえる
業務経験やスキルを採用担当者に評価してもらうには、客観的な証明となる資格は有効です。
例えば「プログラミング言語」や「ネットワークの知識」を持っていても、口頭でその能力を説明するのは難しい場合があります。
資格を取得することで企業側がスキルを信頼しやすくなり、採用に有利に働くことは多いです。さらに資格は一度取得すれば継続的に利用できるため、長期的なキャリア形成においても役立ちます。
2. 向上心を評価してもらえる
資格取得に向けた姿勢や意欲は、企業から高く評価されます。勉強を継続し、試験に合格するには相当の努力と時間が必要なためです。特に未経験者や若手の場合、学習習慣が身についていることが伸びしろとして評価されるでしょう。
企業側も、その意欲と努力を評価して採用を前向きに検討することが多いです。
また資格取得は、自分の自身にもつながります。資格取得に向けたプロセスを経ることで、自信を持って転職活動に臨めるでしょう。
3. 体系的な知識やスキルを学べる
実務経験だけでは得られない体系的な知識やスキルを学べる点も資格取得の大きなメリットです。実務では特定のタスクに集中するため、偏ったスキルセットになりがちですが、資格学習では広範囲の知識を体系的に学べます。
また資格は自分の専門分野を深めるだけでなく、新たな分野への挑戦につながることがあります。
自身のキャリアの幅を広げるために、資格取得を目指すことも良いでしょう。
4. 資格手当をもらえる場合もある
社員の資格取得を促すため、手当を支給する会社があります。転職希望先が手当を支給している場合、資格を持っていることを高く評価する会社であることがわかります。
会社によっては資格取得に対して金銭的な支援をしてくれる場合もありますね。
さらに資格は人事評価や昇給交渉の際にも、アピール材料として活用できます。資格を持っていることで、自分の市場価値を高め、より良い条件で働ける可能性が高まるでしょう。
5. 資格が採用条件になっている場合もある
転職活動の際、特定の資格が採用の条件となっている企業もあります。例えば「プロジェクトマネジメントの資格」や「特定のプログラミング言語の資格」を持っていることが応募の必須条件となっていることは少なくありません。
さらに転職サイトなどを利用する場合、特定の資格を持つ人にのみスカウトメールを送られることもあります。
企業が求める資格を持っていると、自分からアプローチしなくてもスカウトされるチャンスが増えますね。
IT転職に活用できる資格の3つの種類
IT転職に活かせる資格は数多くあります。取得を検討する際には、まず資格が以下の3つの種類に分かれていることを理解しておきましょう。
- 国家資格
- ベンダー資格
- ベンダーニュートラル資格
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 国家資格
国家資格は、経済産業省所管の独立法人である情報処理推進機構(IPA)が実施する試験に合格することで取得できます。認知度が高いため多くの企業で転職の際に評価を受けやすい資格と言えます。
国家資格は有効期限がないため、一度取得すれば長期間にわたり活用できる点も特徴です。
試験は分野やレベルごとに13種類の試験が用意されており、代表的なものとしては「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」などが挙げられます。
引用:試験区分一覧 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
2. ベンダー資格
ベンダー資格は、ハードウェアやソフトウェアなどのIT関連製品を販売する企業(ベンダー)の試験に合格することで取得できます。例えば「Ciscoのネットワーク資格」や「Microsoftの認定資格」などがあります。
ベンダー資格は特定の製品や技術に関する専門知識を証明するものであり、特にその製品を使用している企業に対して強いアピールポイントとなります。
ただしベンダー資格の多くは更新が必要なため、取得後も最新の技術動向にキャッチアップしていくことが求められます。
3. ベンダーニュートラル資格
ベンダーニュートラル資格は、特定の企業や製品に依存しない民間資格です。汎用性が高く、幅広い分野で実務に活かしやすいため、多くの企業で通用する資格と言えます。
ベンダーニュートラル資格は、難易度の高いものが多いため、取得することで高い評価を得られます。
さらにベンダー資格とは異なり特定の製品に縛られずにキャリアを広げられるため、キャリアパスを柔軟に考えられることもメリットです。
IT業界の転職に活かせる資格選びの3つのポイント
IT資格は数多くあるので、どうやって選んだらよいかわからないという方は多いでしょう。こちらでは資格選びの3つのポイントを解説します。
- 資格の用途
- キャリアプラン
- 難易度
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 資格の用途
資格を選ぶ際に最も重要なのは、転職希望先の企業でどのように評価されるかです。例えば転職先の企業によっては、特定の製品や技術に関連する資格が必須な場合があります。
企業の求人情報や社内での資格要件を事前に調査し、適切な資格を選びましょう。
2. キャリアプラン
資格を取得する際には、自分のキャリアプランに沿った選択をすることが大切です。資格はキャリアプランを具体的に示す証拠となります。
転職活動の際に「なぜその資格を取得したのか」「どのように活かすつもりか」を説明できれば、企業側もあなたのキャリアビジョンを理解できて採用に繋がりやすくなるでしょう。
このように自分の目指すキャリアに必要な資格を取得することで、ステップアップがスムーズになります。
3. 難易度
資格を選ぶ際には、自分のレベルに合った難易度の資格を選ぶことが重要です。初心者がいきなり難易度の高い資格に挑戦すると、多くの時間と労力を費やすことになり、挫折する可能性が高まります。
自分のスキルレベルに応じた資格からスタートし、徐々にステップアップしていくのが良いでしょう。
また難易度の高い資格は取得に時間がかかるため、転職活動の進行を妨げることがあります。
転職を急いでいる場合は、比較的取得しやすい資格から始めるのが賢明です。
IT業界の転職に役立つ初心者向けの資格2選
ここからは具体的に転職に役立つ資格を紹介していきます。まず未経験からIT業界へ転職する際におすすめの資格です。
- ITパスポート試験
- 基本情報技術者試験
いずれも汎用性のある資格であるため、未経験者は取得しておいて損はないでしょう。
1. ITパスポート試験
ITパスポート試験は、IT未経験者や初心者を対象に、情報技術に関する基礎知識を問う試験です。具体的には「ITの基本的な概念」や「セキュリティやネットワークの基礎知識」などを学びます。
ITパスポート試験は、基礎的なIT知識を持つことの証明となるため転職時に有利です。試験の難易度は比較的低く、自己学習でも十分に合格が可能です。
2. 基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITエンジニアの登竜門とされる情報処理の国家資格です。基本情報技術者試験は「アルゴリズム」や「データの扱い」などシステム開発の基礎となる分野が主な内容になります。
主な対象は「システムエンジニア(SE)」や「プログラマー」といった技術者を目指す人です。合格率は40%前後と比較的難易度の高い試験と言えます。
未経験からエンジニアを目指す方はまず基本情報技術者試験にチャレンジしてみましょう。
IT業界の転職に役立つエンジニア向け国家資格5選
次にITエンジニアとしてステップアップする際におすすめの資格を5つ紹介します。
- システムアーキテクト試験
- ネットワークスペシャリスト試験
- データベーススペシャリスト試験
- 情報処理安全確保支援士試験
- エンベデッドシステムスペシャリスト
一つひとつ見ていきましょう。
1. システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験は、システム開発において最も上流となる工程を担当するエンジニアに必要な知識を問うものです。情報処理推進機構(IPA)が行う国家資格の一つで特に高い人気の資格です。
試験内容は「要件定義や設計」「プロジェクト管理」などシステム開発の重要な部分をカバーしています。
難易度の高い資格ですが、資格を保有しているとシステム開発の上流の設計に携われるため人材的な価値は大きく高まります。
2. ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験は、情報処理推進機構(IPA)が行う国家資格の中でもネットワークに特化した資格です。
試験ではネットワーク知識だけでなく、セキュリティやサービスについても問われるため、幅広い分野の学習が必要です。合格率は10%程度と非常に難易度の高い試験と言えます。
試験に合格すれば大規模なネットワークシステムの構築など基本設計の上流工程など多岐に渡る業務に携われるでしょう。
3. データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験は、データベースの専門知識を問う国家資格です。
試験では「データベース設計や運用」「パフォーマンスチューニング」などデータベースに関する専門的な知識が求められます。例えば、大規模なデータベースの設計や、効率的なクエリの最適化に関する問題が出題されます。
データベーススペシャリストはデータを有効活用する上で重要な役割を果たすため多くの企業で重宝されるでしょう。
4. 情報処理安全確保支援士試験
情報処理安全確保支援士試験は、サイバーセキュリティ分野の高度な知識を問う資格です。
具体的には「情報システムに関するセキュリティの確保」「情報セキュリティインシデントの管理や対応」などの知識や技術を学ぶ必要があります。
情報処理安全確保支援士試験は、IT系の資格の中で唯一登録制の「士業」となっています。無資格者が名乗れない名称独占資格であり、社会的に高い評価を受けやすい資格と言えます。
5. エンベデッドシステムスペシャリスト
エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、組み込みエンジニアやIoT系エンジニアを目指す人材が対象の試験です。
試験では「組み込みシステムの設計や開発」「組み込みシステムのソフトフェアの設計・製造」などの知識やスキルを求められます。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験に合格することで、組み込みシステムのエキスパートとしての高度なスキルを証明できます。企業側も、この資格を持つ人材をIoTデバイスの開発や組み込みシステムの設計において即戦力として期待します。
IT業界の転職に役立つベンダー資格5選
ベンダー資格は特性の製品の技術を認定する民間資格です。こちらでは多くの企業で使われている製品の資格を紹介します。
- オラクルマスター
- シスコ技術者認定プログラム
- Microsoft認定資格プログラム
- Google Cloud認定資格
- AWS認定試験
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. オラクルマスター
オラクルマスターは、日本オラクルの資格の一つで「Oracle Database」の技術を認定する資格です。「Oracle Database」は世界でも高いシェアを持つデータベース製品です。
オラクルマスターは難易度別に「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」の4つのグレードに分かれており、それぞれのレベルで異なるスキルが求められます。
オラクルマスター取得に向けた学習をすることで、開発言語SQLなどデータベース全般の知識を身に付けられます。
2. シスコ技術者認定プログラム
シスコ技術者認定プログラムは、ネットワーク機器の開発・販売で世界トップシェアを誇る「Cisco Systems」の資格です。「Cisco Systems」の製品は世界中の企業で使用されています。
認定プログラムは、「エントリー」「アソシエイト」「プロフェッショナル」「エキスパート」の4つのグレードに分かれています。実務的には「アソシエイト」以上のグレードの取得がおすすめです。
ネットワークエンジニアを目指す方にとってぜひ取得しておきたい資格と言えます。
3. Microsoft認定資格プログラム
Microsoft認定資格プログラムは、マイクロソフト製品に関わるITスキルを証明するための認定資格プログラムです。
このプログラムは、「ファンダメンタル」「アソシエイト」「エキスパート」の3つのグレードに分かれており、それぞれのレベルで異なるスキルが求められます。
例えば、ファンダメンタルレベルでは基本的なマイクロソフト製品の知識が問われ、エキスパートレベルでは高度なクラウドサービスの運用やセキュリティ対策が求められます。
4. Google Cloud認定資格
Google Cloud認定資格は、Google社が実施する「Google Cloud」に関わる技能を証明するための認定資格です。システムのクラウドが進む中で「Google Cloud」は、最もメジャーなプラットフォームの一つです。
試験では「Google Cloud」だけでなく、クラウド全般の知識が問われます。例えば「機械学習」や「データ分析」といった分野も対象となります。
今後システム開発の現場では、クラウドサービスの導入や運用がより進んでいくことが考えられるため認定試験は転職活動の際に大きな強みになるでしょう。
5. AWS認定試験
AWS認定試験は、AWS(アマゾンウェブサービス)がクラウドエンジニア向けに実施している認定試験です。AWSは世界中で利用されているクラウドサービスで、トップクラスの市場シェアを誇っています。
認定試験は、「ファウンデーション」「アソシエイト」「プロフェッショナル」「スペシャリティ」の4つのグレードに分かれています。
例えば、ファウンデーションレベルでは基本的なクラウドコンセプトが問われ、スペシャリティレベルでは高度なセキュリティやデータベースの管理が求められます。
IT業界の転職に役立つベンダーニュートラル資格3選
ベンダーニュートラル資格は特性の製品に依存しない資格であるため、汎用性があることが特徴です。こちらでは世界的に評価されている資格を3つ紹介します。
- ITIL® 4認定資格
- 公認情報システム監査人(CISA)
- CISSP
一つひとつ見ていきましょう。
1. ITIL® 4認定資格
ITIL® 4認定資格は、ITサービスマネジメントに関する専門知識やスキルを証明する認定資格です。ITIL®とはイギリスの政府機関がITサービスマネジメントに関する成功事例をまとめた書籍群のことで、認定資格は世界共通です。
ITIL®認定資格は1~5までのグレードに分かれており、こちらでおすすめしている「4」は中級者向けの資格となっています。
ITIL®はITサービスの維持管理の基礎を証明することに適した資格です。情報システムの企画・開発だけでなく、保守運用に関する知識が身につくため、非常に汎用性の高い資格と言えます。
2. 公認情報システム監査人
公認情報システム監査人(CISA)は、アメリカのISACA(Information Systems Audit and Control Association)が認定する資格です。
公認情報システム監査人を取得すると、情報システムの監査・セキュリティ・コントロールに関する知識やスキルを証明できます。試験では、システム監査の手法やリスク評価、コンプライアンスに関する知識が問われます。
情報システムの監査やセキュリティ管理において即戦力として期待されるため、転職活動においても有利に働くでしょう。
3. CISSP
CISSP(Certified Information Systems Security Professional)は、認定している情報セキュリティの専門家向けの国際資格です。国際情報システムセキュリティ認証コンソーシアムという米国の非営利団体が主催しています。
情報セキュリティ分野では、世界で最も権威のある資格と言えます。試験ではセキュリティ全般の知識だけでなく経営者視点の問題もあり、難易度が高く高度な知見が求められます。
セキュリティエンジニアの需要は高いため、資格を活かした転職ができれば高収入を期待できるでしょう。
まとめ:IT転職に向けた学習にはテックステージがおすすめ
この記事では、IT業界での転職におすすめの資格について解説してきました。ITの資格は数多くあるため、自身のキャリアプランに合わせて取得することが大切です。
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