SIerとSESはどっちがいい?(新卒・将来性)IT業界の商流や契約の違いも解説

どうも、元フリーランスエンジニアで「ワンダフルコード」というプログラミング講座を運営している、やまもとりゅうけん(@ryukke)です。

IT業界にはSIerとSESって言葉があるんですが、新卒でこれからエンジニア就職を考えてる人やIT業界初心者は、どっちがいいのかよくわかってない人って結構多いんじゃないですかね。

そもそもこの2つの言葉って混同して話されていることも多いので、初心者には確かにややこしいかもしれません。

そこで今回は、SIerとSES両方を経験した僕が両者の違いについてまとめます。

【著者プロフィール】
やまもとりゅうけん(@ryukke)
WEB/ITコンサルのワンダフルワイフ株式会社代表取締役。 新卒で東証一部上場企業にプログラマーとして就職したのち、27歳でフリーランスエンジニアとして独立し、サイバーエージェント大阪支店等に勤務。 現在は日本最大規模の複業コミュニティ「人生逃げ切りサロン」を開設し、3年間で参加者5000名超まで拡大させる。
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SIerとSES新卒・初心者にはどっちがいい?

IT業界への第一歩を踏み出す新卒の皆さんにとって、SIerとSESはどっちがいいのかって、迷いますよね。

僕はSIerもSESも両方経験しましたが、結論から言うと、どっちがいいかはあなたが目指すキャリアや性格によります。

そこで、SIerとSESどっちが向いているか、おすすめのタイプをそれぞれの特徴を踏まえて解説していきます。

SIerがおすすめの人

まずはSIerとはどんな企業かと、SIerに向いてる人の特徴について解説します。

①そもそもSIerとは?

SIer(エスアイアー)とは、システムインテグレーター(System Integrator)の略で、クライアントからシステムやソフトウェアなどの開発・構築などを請け負う企業のことを言います。簡単に言うと、企業向けの業務システム開発の「何でも屋さん」。

そもそも、企業の業務を効率化させるためには、業務フローシステム化や自動化が必要不可欠なんですが、その企業が内部にエンジニアを抱えていないことって結構あります。

そんな時に登場するのがSIer。

SIerは、クライアントが何を望んでいるのかを洗い出す要件定義から、設計、開発、その後の保守運用までを一括して請け負います。

SIerの役割と業務内容

単一のシステムを導入するだけではなくて、既存のシステムと絡めて開発や導入を行うこともあって、システムに関する幅広い業務を行なっているんですよね。

だからSIerと一言にいっても、プログラマーから上流の企画・マネジメントをする人までいて、プログラミングができない人もいたりします。業態もメーカー系やユーザー系、独立系や外資系に分けることができます。

SIerに関しては【IT転職】SIerとは?種類や仕事内容について元SIerの僕が徹底解説!の記事でも解説してるので、詳しくはこちらを読んでみてください。

②SIerはこんな人に向いている

僕の経験からすると、SIerはこんな人に向いていると思いますよ。

  • 大規模なシステム開発に関わりたい
  • プロジェクトの上流(企画や設計)から携わりたい
  • 顧客との折衷やマネジメント経験を積みたい
  • 安定した環境でじっくりキャリアを積みたい

僕自身、もともと文系でプログラミング経験も全くなかったのに、日本って未経験からでも育ててくれるSIerが多いんですよね。だから僕も大手SIerに新卒で入社しました。そこで学ばせてもらいながら、お金も稼がせてもらう、っていう感じでしたね。

ただ、僕がSIerで働いていて、SIerの中でしか使えないような独自技術を習得させられることもあって、それが市場価値に直結しないと感じることもあったんです。上流の企画を動かすことやシステム全体を見渡す経験もできてよかったですが、プログラマーとしての現場のスキルも身につけたいと思って最終的には転職しました。

SESがおすすめの人

次にSESとはどんな企業か、そしてSESに向いてる人の特徴を解説します。

①そもそもSESとは?

SES(エスイーエス)とは、システム開発やソフトウェアの開発・構築などの特定の業務に対し、クライアントへエンジニアの労働力を提供する契約形態のことを言います。

これだけ聞いてもいまいち分からない人もいるかもしれませんが、簡単に言うと、「必要な期間だけ必要なスキルを持ったエンジニアを派遣する」派遣事業みたいなものです(厳密には派遣とは違います)。よく言われる「客先常駐」ってやつですね。
SES企業の仕組みたとえば、大きなシステムを作る会社(SIerなど)が、一時的に「プログラミングが得意な人が5人足りない!」「AIの専門家が急に必要になった!」という状況になったとします。だけど、そのために新しい人を社員として雇うのは、コストも時間もかかりすぎますよね?

そこで登場するのがSES企業なんです。

SES企業は、自社のエンジニアを、人手が足りない会社や、特別な技術が欲しい会社に送り込みます。SESで働くエンジニアは、お客様の会社に行って、その会社のプロジェクトを手伝うことになるんです。

SIerの中には、SESを主な事業として行う企業もあって、そのような企業はSES企業と呼ばれています。

②SESはこんな人に向いている

SESはこんな人に向いています。

  • 色々な会社の開発現場を経験してみたい
  • 短期間でたくさんの技術に触れたい
  • 未経験からITエンジニアとしての経験を早く積みたい
  • 将来はフリーランスエンジニアになって高単価で稼ぎたい
  • 上昇志向

ぶっちゃけ一般的には「SESはブラックだ」と嫌われやすい傾向にありますが、SESで働いた経験のある僕からするとそこまで悪くもないと思ってます。その実体験は【実体験】現役エンジニアが語るSESの実態【そんなに悪くない】で語ってます。

契約業態が派遣であるため、常駐先の企業によって当たり外れがあるのは事実です。ただ、今どき合わなければ転職すればいいのでブラック企業だったら辞めればいいんです。僕もブラック企業に当たってしまった時は3日で辞めましたからね。

初心者からスキルアップして僕のようにフリーランスエンジニアになって将来的に大きく稼ぎたい!という人にはSESはおすすめできますよ。

SIerとSESの違い

では、ここからはSIerとSESの違いを3つ紹介していきます。

1.SIerとSESでは商流が違う

SIerとSESの違いの1つに、IT業界における商流の違いがあるんですよね。

商流というのは、発注元のクライアントから何社分挟んで仕事を受けるかというものです。

クライアントから直接仕事を請け負う場合は一次請け(元請け)、その元請けから仕事を請け負う場合は二次請け(下請け)、その次は三次請け(孫請け)、四次請け(ひ孫請け)と続きます。

大規模なシステム開発で大手のSIerが元請けを担当し、元請けが担当しきれない業務を二次請けや三次請けなどに割り振っていく流れがよくある商流ですね。

SIerとSESの商流の違い

クライアントと比較的近い元請けのSIerは、クライアントと頻繁にやり取りしたり、外部から来た二次請けや三次請けなどと協調したりしながらプロジェクトを動かします。

基本的にはシステム開発に関わることはなんでもこなすSIerですが、要件定義や外部設計などの上流の仕事を担うことが多くなりますかね。

一方で、二次請けや三次請けなどは、SESの契約で働くことが多いです。

元請けのSIerがクライアントに近い上流工程を担当するのに対して、下請けや孫請けのSESは、システム開発における内部設計や開発、テストなどの業務を担当することが多いです。

2.SIerとSESは契約形態が違う

SIerとSESでは契約形態も違います。

まず、SIerがクライアントに対して行う請負契約は、システムなどの成果物に対して報酬が支払われるというものです。

もちろん納期についても定められていますから、納品が遅れたり成果物を納品できなかったりすれば、報酬が支払われることはありません。

また、仕事の内容に不備や欠点があった場合には、クライアントから損害賠償を請求されることもあります。

このように、SIerの請負契約は仕事に対しての完成責任を負います。

SIerとSESの違い

それに対して、SESは依頼された業務をこなすことが目的となる契約形態のため、成果物に対しての完成責任などはありません。

極端なことを言えば、仮に何もせずにそこにいるだけでも時給は発生するわけです。(まあそんなことしてたら契約切られますけどね...。)

ちなみに、SESはSIerが行う派遣事業みたいなものではありますが、準委任契約の一種で、いわゆる派遣契約とは違います。

どう違うかと言うと、指揮命令権が違います。

派遣契約と準委任契約の指揮命令権の違い
  • 派遣契約…客先の指揮のもと働く
  • 準委任契約…自社の指揮のもと働く

とはいえ、この指揮命令権は曖昧な部分も多く、準委任契約であっても派遣契約のように客先で指揮命令が行われているケースもあり、偽装請負という違法行為の温床になっていることもよくあります。

3.SIerとSESは待遇が違う

SIerとSESでは待遇が異なることも多いです。

SIerとSESでは商流が違うことを書きましたが、この商流が報酬にも影響を与え、さらに給料や待遇に影響を与えます。

元請けとなるSIerは、たくさんのエンジニアを抱えており、大型のプロジェクトに対応しやすい大手のSIerが多く、その分年収や福利厚生も恵まれています。

例えば大手SIerであれば、平均年収は800万円を超えてくる企業もちらほら。

大手SIerは研修制度が整っていることも多いため、スキルアップするにも良い環境と言えるでしょう。

それに対して、下請けのSESは給料が少なくなる傾向ですね。

なぜなら、商流が下に行けば行くほど元々の報酬額から中間マージンが引かれていってしまうからです。商流が5次請けや6次請けまであることもあって、多重下請け構造として問題になっています。

このような理由から、下請けとなるSESはどうしても元請けに近い企業に比べると待遇の違いを感じることになるでしょう。

そもそも自分たちが何次請けかどうかなんて、エンジニアに知らされることはそうありません。なので、気づかずにそのまま安い給料で働き続ける可能性もありますね。

SIerとSESの将来性について

SIerやSESの仕事は今後どうなるのでしょうか?

結論、両方ともなくなることはないでしょうね。

そもそもSIer、SESに限らずIT業界全体で見てもエンジニアの数は不足していて、2030年には最低でも約16万人、最悪の場合79万人ほどのIT人材が不足すると言われています。

その上で、SIerとSESのそれぞれの将来性について書いてみようと思います。

SIerは大規模プロジェクトなどでまだまだ引っ張りだこ!

官公庁やインフラなどに関わる大きな案件は、セキュリティなどの観点から、これからも受注できるのは大手のSIerであることに変わりないでしょう。

クラウドサービスの普及によって最初から最後まで開発するようなことは減ってくるかもしれませんが、これまでSIerが作ってきたシステムを管理・改善する立場や業務改善のアドバイザー的な立場はなくなりません。

また、最近は既存のシステムを刷新して業務を効率化するDX需要が高まっています。よって、SIerが活躍する場はまだまだあると言えるでしょう。

これまで作ってきたシステムを刷新するためには、大量の人手や時間が必要となります。そんな中、エンジニアが多数所属しているSIerの需要がなくなることはしばらくの間は考えにくいですよね。

エンジニアは元請に近いほど上流工程に近づくので、上流のSIerなら汎用的なマネジメントスキルを身につけることができます。

SESはプロジェクトさえあれば需要はなくならない!

SESは、偽装請負や多重下請けなどの問題が発生しやすい点もありますが、プロジェクト毎に必要なリソースが異なるシステム開発の現場では、必要な期間に必要な人材を確保できる「SES」という契約形態は利便性が非常に高く、今後も残っていくでしょう。

悪い点もあるSESですが、元請けから開発の業務を振ってもらいやすいことから、「とにかく開発して技術に特化したエンジニアになりたい」「開発経験を積んでフリーランスエンジニアになりたい」という人にとってはSESはおすすめです。

というか、未経験なら現場経験が備わってないのでほとんどの場合はSES一択ですけどね。ただし、中にはブラックな現場もありますからSES企業の選び方には気をつけましょう。

SESでブラック現場を避けるコツはITエンジニア就職におけるSESでブラック現場を避けるコツで解説してるのでぜひチェックしてください。

まとめ:自分のキャリアに合わせた選択が大切!

待遇や契約内容などが異なるSIerとSESですが、それぞれ仕事内容にも特色があります。自分でどんなキャリアを描きたいかを考えた上で就職・転職活動を行いましょう。

大まかには、マネジメントのポジションにいきたいなら大手SIer、開発がしたいなら中小SIerです。両者の違いをしっかりおさえたうえでエンジニアを目指してみてください。

【追伸】今すぐエンジニアとして転職したいあなたへ

僕は未経験からでもスキルを習得して現場で通用するレベルまで引き上げる為のプログラミング講座「ワンダフルコード」を運営しています。


ワンダフルコードサーバーサイドやインフラを両方網羅できる教材です。ただプログラミングを勉強するだけではなく、現場で通用するレベルまでのカリキュラムが組まれてます。

しかも講師は、現役エンジニアとして活躍しながら既に講師としても結果を出している「かねこ氏(@mc_chinju)・エナミ氏(@koujienami)」の2人。

かねこさんは「Take off Rails」、エナミさんは「Raise Tech」という講座でそれぞれ講師やってるし、まさに「最強×最強」。

実際に未経験からワンダフルコードでSIerへ転職を成功させた受講生のインタビューをこちらの記事にまとめているので、ぜひそちらもチェックしてみてください↓

今後の転職成功のためにも、ワンダフルコードをご活用くださいね。 

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